2023年12月10日
近年生成AIは、ビジネスにおけるホットトピックの1つだと思います。
その台頭により、現在存在する職業がなくなってしまうのか、あるいは新しいオポチュニティが生まれるのか、どのような世界が創られるのかは、皆が注目するところかと思います。
エグゼクティブコーチングについては何が言えるでしょうか。
これは世の中の様々なサービスやプロフェッションに言えることかと思いますが、コーチングにもAIが取り入れられるようになるのではないかと思います。
例えば、ちょっと「誰か」と話したい、何かを思案したい、という時にはChatGPTのようなツールが十分役に立つケースがあると思います。世の中で取り沙汰されるだけのことはあって、とてもよくできています。まだ使っていない方は是非試してみてください。
ただし、生身のコーチのようにはいかない点も当然あります。実際にChatGTPで試してみた結果、以下のような発見がありました。
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- 1. 「なぜ」にはあまり興味がない?
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通常コーチングセッションは、コーチがコーチングを受けるコーチー (Coachee) に対し「この時間内で何を話したいか」と尋ねるところから始まります。これはChatGPTでも一緒です。ChatGPTで「エグゼクティブコーチングを受けたいので、コーチ役をやってください」というように入力すると、何を話したいか?と尋ねてくると思います。
次に、話したい内容を告げると、ここから少し生身のコーチと対応が違ってくると思います。生身のコーチならば、コーチーが選んだトピックについて、まず何故そのトピックについて話したいのか、なぜそのトピックがコーチーにとって重要なのかを尋ねてくると思います。この「なぜ」を理解することは、対話を進めていく上では重要です。しかしChatGPTは、そもそもなぜコーチーがそのトピックについて話したいのか、にはあまり興味がないようです。(苦)
- 2. 質問は最小限、結論をすぐに出す
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以前別のブログ記事に書いたように、コーチの仕事はコーチーに提言をすることではありません。全身全霊でコーチーの話を聴き、興味関心の赴くままにパワフルな質問をすることにあります。ChatGPTで何度か試してみたところ、この質問をする、というのはChatGPTでもある程度はできることが分かりました。ですが、1〜2回やり取りをすると、すぐにたくさんの施策・対応策を提示してくれます。生身のコーチのセッションでは通常このようなことは起こりません。簡単に答えが出るようなことについて、わざわざコーチを雇う方は少ないと思います。コーチとコーチー (Coachee) が話す内容というのは、じっくり時間をかける必要があるものが大多数です。何度も質問と答えを繰り返して深掘っていくことにより、今までなかった発想が生まれたり、考えにたどり着いたりできるのです。また、行動変容についての具体策を考えるのは、コーチングを受けるコーチー (Coachee) であって、コーチが行うものではありません。
- 3. コーチー (Coachee) の様子を伺いながらセッションを進行することができない
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これは当たり前と言えば当たり前ですが、コーチー (Coachee) が何も入力しなければChatGTPから声をかけてくれることはありませんし、対話は進みません。生身のコーチであれば、コーチーの様子を伺いながら、何か声をかけてくれると思います。ですが、当然ChatGPTにはそのようなことはできません。
また、コーチングセッションでは、コーチー (Coachee) がじっくり考えるためにしばしの沈黙が必要だったり、時には感情が昂って言葉に詰まったりすることがあります。一旦コーチングセッションを中断して、気持ちが落ち着いたら再開するということもあります。コーチは、コーチー (Coachee) の感情を読み取り、寄り添いながらコーチー (Coachee) と共にセッションを進めていきます。
分かりやすく感情が表に現れていない時でも、コーチはコーチー (Coachee) の何気ない仕草や言葉のチョイスを具に観察しています。そして、それをコーチー(Coachee) の対話に活かします。ChatGPTのようなテキストベースのツールですと、当然そこまでは求めることができません。
ChatGPTはテキストベースのツールですので、生身のコーチと比較するのはナンセンスだと思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、ChatGPTなんで全く役に立たない、生身のコーチの方が遥かに優れている、と言いたかったわけではありませんので悪しからず。上記の通り、第三者視点で質問をしてもらい、ある程度考えをまとめたり深めたりするのには「使えるツール」だと思います。
もしまだChatGPTを試してみたことがない方は、ぜひ一度使ってみて頂ければと思います。